なでしこジャパンは2月28日、パリ五輪・アジア最終予選で北朝鮮と対戦する。

 キックオフ2時間前の国立競技場の周辺にはサポーターが駆けつけ、賑わいを見せていた。しかし、勝てば今年7月に開幕するパリ五輪出場が決まる大一番のわりには、人の数はまばらなようにも感じた。

 女子ワールドカップなど大きな大会の開催中は、多くのサッカーファンの関心を集めるものの、なかなかその後の人気を持続させるのが難しい日本の女子サッカー界。長年抱える課題を女子サッカーファンはどう思っているのだろうか。

 ユニホーム姿にタオルマフラー、日本国旗を持参して国立競技場に駆け付けた熱烈なサポーター、イチローさんに話を訊いた。

 昨年のニュージーランド&オーストラリアで開催された女子ワールドカップも現地でなでしこジャパンを応援し、またWEリーグなどのサッカーだけでなく、フィールドホッケーやラグビーなどの女子スポーツも長く追いかけきたというイチローさんは、女子サッカー人気が高まらない現状をそこまで問題視していないという。
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「今のWEリーグも(観客の入りが)ガラガラなわけ。自由席なんだけど、行くといつも同じ席に同じ人が座っている。だんだん、お互いに顔を覚えてくるんだよ。1年に1回しかない大会でも、行くと話したことがなくても顔を覚えているから、『久しぶり!』って。

 ガラガラのほうが見に行く人はチケットを買えるし、安く行けるし、行くと仲間に会える。いつも同じ人。人が多いと誰がどこにいるか分からなくなってしまう。連絡先を交換していないからね」

 日本サッカー協会の発表によると、なでしこジャパンの北朝鮮戦のチケットは前日の午後5時の時点で1万6000枚が発券された。収容人数6万7750席を誇る国立競技場からすれば、決して多くはないが、コアな女子サッカーファンにとって、たとえ“大入り”にならなくても、仲間と気軽に会える環境をポジティブに受け止めているのだろう。

 最後に北朝鮮戦の注目選手をイチローさんに訊くと、「やっぱり(応援している)浦和レッズレディースから出ている人を見ちゃうかな。あと藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、浦和との試合でもあの子にボールを取られると、必ずゴール前まで持っていかれちゃうの。すごく脅威だった。もっとゴール前で自分でシュートを狙ってほしいけどね」と語ってくれた。

 質問するたびに笑顔で熱弁してくれる。女子サッカーへの愛を感じた。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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